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中国税務速報(2019年 第2期)

2019.06.05

1. 国家税務総局:税収優遇に関する税務証明事項15項目を新設・廃止

国家税務総局は2018年末に税務証明事項20項目の廃止に続き、3月8日に「税務証明事 項の一部廃止についての決定」(以下、「決定」という)を発表し、税収優遇に関す る税務証明事項15項目を廃止することを公布した。今回廃止となった15項目は、納税 者による減額、免除、税金還付などの関連事項に便利を図り、減税・費用削減政策を 更に推進したことでもあるとみられ、これもまた2019年の政府活動報告における重要 な課題でもあった。

2018年末に廃止となった20項目と今回廃止対象となる15項目が廃止した後、科学技術 企業インキュベーターと大学科学技術園の証明などにつきましては、提供する必要が ない関連証明材料と一部部門間の情報共有を通じて代替えすることができます。納税 困難証明などは、納税者が自ら承諾という形に代替えすることができます。納税者関 係身分の証明や機構証明若しくは批准書類などの多くは、納税者が自ら保管に代替え することができます。

2. 財政部、国家税務総局:「粤港澳大湾区個人所得税優遇政策に関する通知」を発表

3月14日、財政部と国家税務総局が共同で発表した「粤港澳大湾区個人所得税優遇政 策に関する通知」(以下、「通知」という)は、ハイエンド人材及び不足人材が大湾 区で働くように人材誘致し、大湾区で働く海外人材が実際負担となる税金を減らすた めであった。詳細は下記の通りです。

1)広東省と深セン市は、大陸部および香港地区における個人所得税負担額の差額に 基づき、大湾区(広州、仏山、肇慶、深セン、東莞、恵州、珠海、中山、江門の9市 と香港、澳門<マカオ>両特別行政区によって構成される都市圏)で働く海外(香港・ 澳門・台湾地区を含む)ハイエンド人材と不足人材を対象に補助金を支給し、当該補 助金の個人所得税が免除される

2)海外(香港・澳門・台湾地区を含む)ハイエンド人材および不足人材の認定と補助方 法について、広東省と深セン市が定める関係規定に準じる

3)「通知」は、2019年1月1日から2023年12月31日まで施行され、適用範囲は、広州、 仏山、肇慶、深セン、東莞、恵州、珠海、中山、江門の9市と香港、澳門<マカオ> となる。

3. 国家財政部、税務総局、税関総数:「増値税改革関連政策の深化に関する公告」

財政部、国家税務総局、税関総署は3月20日に共同で発表した「増値税改革関連政策 の深化に関する公告」(以下、「公告」という)は、今年の増値税税率が4月1日より 引き下げる宣言をした。同時に、増値税改革関連政策の深化に向けた一連の措置が公 布され、これは近年において最も強力な増値税の引き下げ政策であった。主な内容は、 下記の通りです。

1) 増値税一般納税者が納税すべき販売行為若しくは貨物輸入の場合、16%から13% に、10%から9%に調整した。

2) 納税者が農産物を購入の場合、10%から9%に調整した。納税者が生産用若しくは 委託加工用に購入した農産物に関して、13%から10%に調整した。

3) 輸出税還付が16%だった輸出用貨物は13%に、10%だった輸出用貨物・越境課税貨 物は9%に調整した。

4) 海外旅行者による出国時の税金払い戻し対象品物は、13%から11%に、9%から8% に調整した。

5) 仕入れ税額控除できる範囲の拡大を明確にし、国内旅客輸送サービスを控除でき る範囲に入れるとともに、納税者が取得した不動産の支払いによる仕入れ税額を現在 の二年間に分けての控除(初年度は60%、翌年は40%)を一括全額控除へ変更した。 それ以外、2019年4月1日から2021年12月31日まで、生産・生活型サービスの納税者に よる当期控除できる仕入れ税額を1割増し、納税額を相殺できるように認めた。

6)増値税控除留保税額還付制度を試行し、関連条件を満たした納税者は、主管税務機関へ増加留保税額の還付を申請することができ、増加留保税額は2019年3月末に比 べ、新たに増加された部分です。

4. ビジネス環境の最適化や外資の安定的な増長の促進、企業の「海外進出」への助力が中 国の将来的な税務業務における重要目標である

国家税務総局の最新データによると、現在に至るまで、中国は111か国(地区)と租 税協定を締結しています。2016年から、中国は多国と二国間租税協議を行い、合意に 至った。越境納税者による約100億元の二重課税を解消したことで、ビジネス環境の 最適化や外資の安定的な成長の促進、企業の「海外進出」への助力など、中国は決心 したことが反映されます。

中国での投資拡大を奨励する面において、2017年、国務院は「外資増長促進の若干の 措置に関する通知」を発布し、外資による継続的な増長を促進するための税収支援政 策3つを打ち出した。この政策を徹底的に実行するため、国家税務総局は関係部門と 連携しながら、国外投資者が中国国内企業から配当された利益を奨励型プロジェクト に直接投資される場合、繰り延べ納税政策を実行し、国外投資者が継続的に中国での 投資を奨励するため、暫くは源泉徴収しないという方案を打ち出した。2018年、上述 の再投資による繰り延べ納税政策の適用範囲を奨励型プロジェクトから全て非禁止 型外商投資プロジェクトと領域に拡大する見込みです。また、国外機構が国内債券市 場を投資することにより得た債権利息収入の企業所得税と増値税を免除し、間接投資 と直接投資を連携させる見込みです。データによると、2018年度において、繰り延べ 納税政策を受けた企業総数が500社近く、配当金が約480億元に上り、納税遅延若しく は税還付総金額が47億元を超えるという。このような政策支援は、2019年にも続きます。

企業の「海外進出」への助力の面において、国際租税協力の重点を「一帯一路」建設 へのサポートに移し、積極的に「一帯一路」多国間租税協力メカニズムを構築し、対 外投資税収サービスを継続的に最適化していく予定です。2015年以来、中国は国別租 税情報研究の業務メカニズムを確立し、「一帯一路」沿線国々及び国内の「海外進出する」納税者の主要投資目的地の税制を研究しています。現在に至るまで、公式サイ トにおいて84か国(地区)の租税ガイドが発表されており、また、{「海外進出」の 租税ガイド}も発表され、「一帯一路」の主要建設参与国と地区がほぼカバーできま した。商務部のデータのよると、2018年、中国の実際外貨使用金額が1349.7億ドル、 同期に比べ3%の増長となり、そのうち、「一帯一路」沿線国々の対中実際外貨投入額 が64.5億ドル、同期に比べ16%の増長となり、力強い発展の活力を示したものであり ます。

「一帯一路」政策のもと、外商投資の誘致にしても、中国現地企業の「海外進出」の 奨励にしても、租税優遇政策を通じて市場の活力を奮い立たせることは、将来的な税 務業務における課題でもあります。